01採用を経営課題として捉える
これまで企業側は採用活動に苦戦の連続を強いられてきました。アフターコロナの環境下においては、経済への打撃が大きく、採用戦略で一定の転換をせざるを得ない状況に追い込まれており、企業にとって非常に頭の痛い経営課題と言えます。
現状では通年採用が普及しはじめ、インターンシップなどを含め、企業は自主的な採用計画の下、フレキシブルな活動方法を選択し、政府指針の3月広報活動開始、6月選考活動には沿いつつも、事実上、形骸化しているのが実情です。
従って、依然大企業優位、中小企業不利の構造は変わることはない.....と思われましたが、
実はコロナ禍がその構図を少し変えることになっていくと考えられます。
つまり、ご存知の通り、経営的に大きなダメージを受けた大企業も少なく無く、自ずと採用計画の見直しを余儀なくされることが各社で発生しています。
同時にリストラや解雇なども発生し、新卒採用だけでなく、中途採用市場も動きが出てきます。
ここで元気の良い、成長株の中堅・中小企業は、良い人材が確保しやすくなる、まさにチャンス到来と言えるでしょう。
しかも自社の求める人材が、強い入社願望のある就活生・求職者と、双方向でマッチングした採用活動を可能とするチャンスだと言えます。
このように大企業だけでなく、中堅・中小企業においては、これまで後塵を拝してきた状況から大きく転換させるために、この機会を買い手の待ちの姿勢とするのではなく、むしろ経営の最重要課題の一つにまで高め、企業を挙げて取り組んでいくことを強く提言します。
02企業のアイデンティティを伝える
このような状況下、採用Webサイトは、ありがちな他社サイトと変わり映えしない同様のことや、あまりにも定番すぎるコンテンツばかりでは、学生や一般求職者への刷り込み効果や心理的なフック材料にはなりえません。
だからといって過剰に奇をてらうことはNG、ブランドイメージにそぐわないものもNG、遊びすぎてもNGですので、人事・採用担当者は頭の痛いところです。
その中において、意外と採用サイトで語られないのが、自社のCI(コーポレート・アイデンティティ)やブランディングについて、また採用を企業経営レベルの問題として扱われていないことです。
社員情報、職場情報、研修・人材開発等の情報は充実している採用サイトは多いのですが、創業者の起業エピソード、企業ヒストリー、企業・製品・サービスの社会性・独自性の語り、さらに将来へ向けた事業ビジョンなど、堅苦しくならないよう、学生のインタレストレベルで語りたいものです。
その上で社員の活躍ぶり・社員インタビュー・部門セクション紹介・キャリアパス制度等のコンテンツが存在することを弊社では提唱しています。
CIやブランディング情報に関心や興味を示した学生でも、辞退する者は辞退しますが、その内定辞退を最小限に抑え、その後のミスマッチを削減し、定着にも貢献すること。
やはりそこまでの狙いや目的をもって採用サイトのコンテンツづくりとすることをお勧めします。
これを社長メッセージとして、人事部長としてカジュアルな登場で語っていただくことも選択肢でしょう。コンテンツマーケティング、Web広告、純広告出稿…などの集客策です。
03押さえておきたい一般的な採用コンテンツ
以下に採用サイトで取り上げたい標準的なコンテンツメニューを列記しました。ただ前述の通り、たとえ大企業といえども、単に王道を行く採用サイトのコンテンツだけでは、この時代求職者への共感は限定的です。やはり相対的に他社や競合のサイトもベンチマークとし、自社の独自性をいかに学生・求職者に発信するか。ここはしっかりと押さえておきたいものです。
採用サイトのメニュー | コンテンツのポイント例 |
---|---|
社員インタビュー | 各部門の代表を決定し、同社に入社した決め手、現在の日常業務、やりがいや意欲的に取組んでいること、今後のビジョン等。 |
座談会 | 部門内、部門間での座談会、または上長とのセッション。 1年生や2年生社員を中心に実施、場合によって5年・10年社員との座談会も効果的。 |
組織・部門紹介 | 社員や人事担当者が説明することもいい。 |
代表メッセージ | 企業オフィシャルサイトとは異なり、学生に語りかける姿勢で臨む。服装をビズカジ風にするのも学生に受け入れやすい。 求める人材像、活躍するフィールドなどに言及したい。 |
人事部長・人事担当者のメッセージ | 採用活動、説明会で直接学生と接触する立場なので、自分の採用活動に懸ける熱い想いを語ることも良い。 |
人材育成・研修制度・キャリアパス | なるべく具体的な制度設計、特長を見せる。チャート図やグラフを使って視覚化する工夫も交えたい。 |
企業風土・カルチャー | 単に説明情報だけでなく、社員や人事担当者が語るのもあり。社員に優しいとか和やかな社風…などもいいが、一本筋の通った側面、譲れないことにも触れておくことが大事。 |
事業内容紹介 | わかりにくい事業、見えにくい製品、一般的に馴染みのない業種の場合、学生・求職者にきちんと理解させることが重要。そのためのデザイン表現、コピーによる咀嚼などクリエイティブ性が求められる。 |
事業や製品の強み・優位性 | 前段との関連で、自社のアイデンティティを強く印象付けする要素。表現方法も抽象的、漠然としたものは避け、学生・求職者の深い理解を促す。 |
企業ヒストリー・沿革 | 企業の発展・進化の過程を年表や図表にしてそのマイルストーンを表現。重さを感じる情報だけに、そう感じさせないタッチが重要。 |
創業者紹介 | 創業者の横顔、この会社の創業の理念、起業時のエピソード等をなるべく堅苦しくならないよう工夫。 |
企業情報 | これはこの採用サイトで取り扱うかどうかは検討を要する。 ただ企業の公式情報はなるべく企業サイトへ誘導したい。 |
課外活動 | スポーツ、同好会、レクリエーション、懇親会、社内旅行等の紹介。 |
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04企業サイトとの連携・融合
独立した採用サイト
企業のオフィシャルサイトから採用サイトを独立させ運用する方法です。
やはりこのスタイルが企業オフィシャルサイトから一歩踏み出し、オフィシャルサイトのトーンアンドマナーやUI(ユーザー・インターフェース)の枠組みに縛られることなく、裃を付けない自由度のあるリクルートコンテンツを展開することができます。
TOPのファーストビューに採用動画を組み込めば、強烈な印象付けから、求職者・学生にはその企業の採用にかける並々ならぬ想いを必ず伝播できます。
もちろん別ドメインとしますが、企業サイトドメイン内でも独立性は打ち出すことも可能です。次項をご参照ください。
しかしながらここで重要なことは、企業サイトとの連携です。つまり採用サイトが独立しているだけに、企業の本来の公式情報が不足しているため、採用サイトと企業サイトのジョイント部分は明確に見せておく必要があり、採用サイトから企業サイトへの遷移を誘導する工夫も大事なこととなります。
特に上場企業の場合、決算情報やIRに関しては採用では取り上げないため、必ずサイト間連携が発生します。
企業サイト傘下の採用サイト
企業オフィシャルサイト内のコンテンツとして採用情報を掲載する場合、ちょっとした工夫で独立感を出すことができます。
簡単に言えば、企業サイトと同一ドメイン内で、企業サイトのUIルールやナビゲーションから外れ、採用サイトとしての独立感を打ち出せます。
もちろん企業サイトへ戻る相互の関係性は強く保ちます。
また同一UI・ナビゲーション傘下で展開する場合、レイアウトやUIルールに拘束はされますが、一定のコンテンツの質量を保てば、決して独立サイトとは遜色無く運用できます。
05オンライン採用でのメディア連携
『オフライン』メディアとの連携・棲み分け
コロナ禍以降、オンライン採用を導入する企業が多くなりましたが、今後もこの手法は効率の良い合理的な活動方法として、企業は積極的に採り入れていくものと考えられますが、感染状況の回復により、これまでの対面・集合方式も徐々にとり戻し、合同説明会、対面の面接、インターンシップ等の再開がなされます。
とは言え、対面・集合方式のオフライン方式に全て移行することはなく、前述言及の通り、我々はオンラインという非常に効率のいいコミュニケーション方式を手に入れたわけですので、これを使わない手はないわけです。
従って、オンライン方式に加え、オフラインでの活動を巧みに使い分けし、それぞれの長所を活かした運営方法をとることが、アフターコロナの主流になっていく見込みです。
オンライン「採用サイト」・オフライン「採用パンフレット」
もちろんオンライン採用の主役となるのが採用サイト。
企業説明会や面接がオンライン開催であっても、対面・集合の開催であっても、採用サイトは採用活動ツールの主役の座であることは異論は無いと思います。
しかしながら、オンラインの主役ツールと言えども、大企業であれ、中堅・中小企業であれ、採用ナビからの遷移で、ターゲットの就活生・求職者を自社採用サイトへ誘導するチャネルですが、知名度の低い中堅・中小企業であれば、このチャネルはマストの手段です。
つまりオンライン採用においては、この採用サイトと採用ナビの一体的運用が外せませんが、
実はオンライン採用が普及すればするほど、企業サイドは採用広報活動の限界、就活生・求職者に対する情報提供の質・量低下、さらにコミュニケーション不足からミスマッチや内定辞退が起こりやすくなる傾向は否めません。
そこでその状況を防ぐ方法として、オフラインツールを活かすことです。
その代表格が採用パンフレット・入社案内です。
オンライン説明会や面接の際に合わせ、就活生や求職者に個別配布する、また資料請求にて、オンラインでは得られない、手許で企業を感じられるアナログツールとして、オンラインを下支えしていきます。
この効果だけでなく、何と言ってもオンライン終了後にもリマインドできることです。
手許に存在することで、より深い企業理解を促すことができ、家族にも見せることができます。
このように採用サイトと採用パンフレットを連携・クロスして活用することが、それぞれの良さを引き出し、シナジー効果を高めることにつながります。
この両者の連携は、もちろん対面・集合の企業説明会、合同説明会等では、この採用パンフレット・入社案内は手渡しを主体として、資料請求等での配布する組合せツールとして、オンライン下、オフライン下の両面で大変有効です。
採用サイトと動画の親和性
採用ムービーは採用活動で高い機動力を発揮します。
何と言っても対面・集合の企業説明会、合同説明会での上映は参加の就活生・求職者に対し、企業のアウトラインを瞬時に理解させることに長けている媒体です。
採用サイトに採用ムービーを組み込んでおけば、訪問ユーザーはいつでもその動画を視聴でき、まさにオンラインツールとしては最強とも言えるコンビネーションです。
このように媒体は単体のみではなく、シーンに応じて適宜投入できるよう、複合展開することが好ましいと言えます。
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06採用ブランディング
採用ブランディングの取組み
前項の「採用サイトとのメディア連携」で採用サイトと紙媒体やデジタルメディアとの連携だけでなく、採用広報戦略の上流から関与し、メディア展開のコンセプト立案、採用ツールプランニング、キービジュアル策定などから総合的に採用活動をブランディングして取り組んでいきます。
ビジュアルを整えた媒体単体ごとのプロデュースでも一定の効果は期待できますが、採用戦略の根幹から携わることで、アウトプットの各種ツール・メディアにまで、そのフィロソフィーやスピリットを揺るぎなくビルトインすることを可能とし、強力なシナジーを発揮します。
つまりこの取組みは採用ブランディングとして、各ツールの効果的展開により、就活生や求職者の入社意識に強く作用することが期待できます。
採用ブランディングの導入事例
東証一部上場の特殊工事業『第一カッター興業株式会社』様の採用ブランディング導入事例です。
採用ブランディングのコンセプト設計にあたり、ヒアリングのセッションを重ね、
●上場企業でも「知名度が低い」「不⼈気業種」
●毎年⼈材確保は難航を極めている
という課題与件を洗い出し、この課題を克服するコンセプト策定、キービジュアル立案、アウトプットのツール選定とプロデュースに繋げていきました。以下その要約です。
「他社ではできないニッチな専⾨家集団」が同社の強烈な強み。
その中で求める人材は、「学歴や学校の成績は重視しない」「平均点でバランス良くまとまっている必要はない」「最初はどこか尖ってさえいればいい」。
実は現在第一線で活躍する社員も入社時点はこの傾向。今では押しも押されぬプロフェッショナルとなり、現場の作業マネジメントを担い、マルチな能力を発揮できる人材に成長。
また代表者様へのヒアリングから、
「いつかは宇宙に呼ばれるような集団になりたい」
というスケールの大きな夢を語っていただいた。
これらの要件からコンセプトメッセージを打ち立てた。
コンセプトメッセージ
「なによりも、常識の破壊者であれ」
「求めるのは宇宙飛行士のチカラ」
またキービジュアルを「宇宙飛行士」をイメージさせるビジネスパーソンに設定。
キービジュアル
採用ツール展開
以上のコンセプト設計から採用ブランディングのアウトプットである、各種の採用ツールに具現化しました。特に過去の採用活動の劣勢から、合同説明会にフォーカスした攻めの採用活動に即したツールに落とし込みました。
1. 採用Webサイト
2. 採用ブースのツールデザイン
3. 採用パンフレット
1. 採用Webサイト
2. 採用ブースのツールデザイン
3. 採用パンフレット
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