Webメディアミックスはワンソース・マルチユース

1. ワンソース・マルチユースのバリュー

メディアミックスはまだ普及していない

まだまだ企業によっては、広報・広告手段の運用方法を媒体によって発注ベンダー(制作会社)が複数・多頻度になっていることは珍しくありません。
よく言う、同一企業のWeb媒体、印刷物、広告媒体なのにブランドイメージがバラバラ、媒体によってデザインの統一性が全く無い、などということは、大企業・中小企業に関わらず、珍しいことではありません。
このことは、企業トップや経営層の意識の問題であることがほとんどで、技術立国である我国においては、極論すると商品力重視・ブランド軽視の傾向は、現代に至ってもなかなかその意識に変化が感じられません。
各部署、各社員に自在に権限を委任していれば、意識ベクトルは一致しませんし、何よりもそのような担当者に広報・広告制作物発注権限を移譲していれば、好き勝手にやるし、まして制作依頼された業者は、その企業にVI・ブランドルールが無いとすれば、これまた好き勝手にやります。むしろここは業者にとって自社が認められたい一心で、何とか他社と異なる差別性を発揮したいと思うものです。
そうなればまさにカオスな混沌とした状況で、これがもし常態化すれば、これを打破することは、企業にとって大きな負担を来しますし、その企業にとって大きな無形資産を失ったということになりかねません。こんなロスは一般企業において、結構見過ごされることが多いようです。
少々熱く語ってしまいましたが、企業内の広報・広告・Web媒体で「ワンソース・マルチユース」の媒体運営、いわゆるメディアミックス展開を導入しない手はありません。

ワンソース・マルチユース

メディアミックスの価値の重さ

ではそのメディアミックスはどのような価値があるのでしょう?
その真髄はやはり「ワンソース・マルチユース」です。
ある企画が複数の媒体で運用することが最適とされ、Webや印刷媒体・映像媒体で、例えばホームページはWeb制作会社、印刷媒体は広告プロダクション、映像ムービーは映像プロダクションと3社に発注したとします。繰返しになりますが、結果はいわずもがな。それぞれがバラバライメージ、ブランド不一致の仕上りはほぼ予測通りです。それどころか、ロゴマークの色や形状が部署によって異なる?といった究極のケースも弊社では目の当たりにしています。
これを防ぐには2つ方法があります。
企業サイドでCI・VI指針に則って、強いリーダーシップで業者を統制をすることです。
言い換えれば、広報・広告・Webの担当者がいかに強く、業者のじゃじゃ馬慣らしをすること、強烈に自社の基準に引き寄せることができるか、これにかかっていると言えます。
もう一つがホームページはじめ、全ての媒体制作を広告代理店や広告プロダクションの1~2社に絞り込んでしまうことです。
それにより「ワンソース・マルチユース」を実践しやすくなり、それがブランドイメージを保持しやすくなります。
このどちらかが叶わない場合、依然としてブランディングに無頓着な会社、ブランド概念の無い企業風土、といった市場やステークホルダーの潜在評価となり、企業価値を棄損することにもなります。

2. メディアミックスの効果

ではこのワンソース・マルチユースのメディアミックスを実践するメリット・効果とは何でしょう?
大きく4点あります。
一つはブランドの統一効果、二つ目は納期短縮効果、三つ目は社内業務削減効果、4つ目がコスト削減効果があります。それぞれを解説してみます。

ブランドやイメージ統一効果

前項「01|メディアミックスとは? ⇒ 1. ワンソース・マルチユースのバリュー」でも言及しましたが、何と言っても一番の効果は、メディアミックスの概念導入により、企業ブランディングという無形の資産が宿ることでしょう。統一したCIやVIマニュアル、ブランドブックの規定に基づく、ホームページ、会社案内、企業ムービー、製品カタログ、エントランスデザイン、社有車マーキング、名刺・封筒・伝票、包装紙・パッケージデザイン、展示会SPツール・・・。全てにわたってまずは原則完全一致です。もちろんその中には、副次的事業や異なる製品分野もありますから、それぞれのプロダクトブランディングの社内定義・ルール化での運用でしょうが、原則は全て統一コンセプトの下となります。
業界・マーケット、ステークホルダー、エンドユーザー、さらには社員・親族まで、潜在的な企業価値向上をもたらします。

納期短縮効果

原則全媒体をワンソース・マルチユースで制作しますので、例えば企業オフィシャルホームページで決定された企画コンセプト、情報設計、デザイン、ブランディング指針等をそのまま、もしくはパーツとして他の媒体制作に流用します。特に企業オフィシャルサイトと印刷媒体の会社案内と企業PRムービーは相互の親和性が高く、これらはほぼ完全一致といっても過言ありません。もちろん各媒体のユーザー属性の違い、コミュニケーション方法の違い、また媒体自体の仕様特性がありますから、随所で調整やアレンジは必要ですが、デザイン・コンテンツのマテリアルは統一です。
従ってお解りの通り、0ベースの企画・プランニングの必要が無いわけですから、大幅に時間削減=納期短縮効果を期待できます。

社内業務削減効果

このケースは前述した、制作業者の一本化、絞り込みで最も効果を期待できます。
CI・ブランドコンセプト策定、企業オフィシャルホームページ、会社案内、企業PRムービーを作成する場合、例えば広告会社1社で対応するとします。CI・ブランドコンセプトで策定された理念や哲学をもって、企業ホームページの企画・プランニングをし、基本デザイン・キービジュアル、コンテンツ設計をします。その要素やマテリアルをその1社が一気通貫で会社案内、企業PRムービーまで制作が可能となります。
つまり1社に任せたら、全媒体を通じたイニシャルの企画プランニングのみ、ディープな参画をすれば、あとは制作業者が一通りの制作進行で全媒体のリリースを現実のものとできる見込みがあります。
これが媒体毎に制作業者が異なると、媒体毎4社に0ベースで関与せねばならず、社内担当者は大きな負担を強いられます。
企業の広報部門、広告・宣伝部門では、少人数組織も多く見られ、担当者は大きな負担となっています。業務改革、省力化の目的からも取組むメリットは大きいと言えます。

コスト削減効果

以上3点のメリットをご説明しましたが、特に「納期短縮効果」と「社内業務削減効果」で定量的なコスト削減効果が期待できます。前者ではソース、つまり企画素材、デザイン素材、コピー・ライティング素材をイニシャルで作成すれば、全媒体に流用できるわけですから、制作費コストが削減できます。
後者では1社に任せるわけですので、業者とはグロス制作の契約が可能となります。この場合、眼に見えない潜在効果として、社内担当者がWeb・広報・広告制作に忙殺されることを防止でき、追加人員の配置による人件費コストの抑制にも寄与すると思われます。

3. クロスメディアとの違い

このメディアミックスとクロスメディアとは似て非なるもので、到達する着地点が異なります。
前者のメディアミックスに対し、クロスメディアは、ある商品・サービスのセールスプロモーションに関し、複数のメディアを通じ、それぞれメディアの特性を活かしながら、不特定多数のマーケットから興味・関心あるユーザーを絞り込み、直接コミュニケーションするメディア、もしくはリアルマーケットへ誘導、最終的にコンバージョンを獲得する、メディア横断的なプロモーションの仕組み、と言えます。TV広告で「つづきはWebで」と検索窓にキーワードがタイピングされカチッと・・・、はよくご存知と思います。
つまりTV広告を打つことは、不特定多数のマスマーケットから関心あるユーザーにリーチすること、これに適していますが、例えば特長、仕様、ユーザーボイス、導入例・・・等々詳細な情報は発信できません。むろんそれをやろうとすると、莫大な製作費・広告費がかかりますし、配信期間も長期間は限界があります。そこでホームページに誘導すれば、そこでそれらの詳細情報を閲覧・入手できるし、問合せ、資料請求、購入までも可能です。さらに情報が必要であればメルマガ登録も可能です。
このように、媒体の持つそれぞれの特性を活かし、それらをうまく組み合わせてプロモーションを行うことです。その他に、
雑誌広告・新聞広告に検索ワードを配置からホームページへ誘導、ダイレクトメールからホームページへの誘導もその一つと言えます。
もちろんクロスメディアと言えども、各媒体をメディアミックスしておくのは最低限の要請であることは言うまでもありません。
従って賛否両論あると思いますが、あえて言えば、「メディアミックス < クロスメディア」とも言えます。

一貫したブランディングによるデザイン・コンテンツを統一マネジメント


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