2019.07.21
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ブランディングは外向きの志向性で、マーケットやユーザーの直接的な支持や評価はさることながら、心理的・情緒的な好感度が醸成され、それが何らかのビジネスや取引につながる要因になることが重要です。
それだけにCIとは真逆と言っていいほどの概念であり、市場において競合との差別性や競争力が重要なファクターとなります。
もちろんそのブランディングは、CIや企業コンセプトに基づく、またはそのCI精神がルーツであることは言うまでもありません。そこが別々に一人歩きしては、全く本末転倒です。各論・諸説ありますが、弊社ではそのルーツは一致していることが大前提と捉えています。
前述からもブランディングの側面から言及すると、CIルーツの社交性を求めたものがブランディングであることから、さらに企業の商取引要件が加わってくると、よりビジネスライクなファクターが必要です。
「コンテンツマーケティング」でも見られる通り、個人の購買行動や意思決定プロセスと、法人企業のそれとは大きく異なります。
簡潔に言うと、個人は購買するかどうかの決定を、自己の責任の下で行えますが、法人企業はそうはいきません。会社の看板を背負っているからという単純なものでもありません。
例えば法人企業で数千万円の機器類を導入しようとした場合、社内の意思決定プロセスは、以下の通り多次元で臨むこととなります。
その一部を紹介すると、
このようにBtoBの商取引は、多頻度で執拗な検証・検討のプロセスを経ることがマスト要因ですが、ではなぜBtoBではブランディングが重要なのか、ここで明確にしておく必要があります。
ブランディングの定義を簡潔に触れておくと、そのプロダクトやサービスの強み・差別性・優位性を顕在・潜在で伝え、さらにモノ・コトの側面、いわゆる機能情報やスペック・諸元等ファクト中心の「モノ情報」に加え、プロダクトやサービスの開発コンセプト・開発者のメッセージ、導入・応用提案、導入事例・顧客インタビュー、コストパフォーマンス…等々、つまり「コト情報」です。
実はこの後者のコト情報が他社との差別性・優位性を明確にするファクターです。つまりブランディングたる所以と言えます。
機能・スペックは数値やデータが主で、モノありきの要素です。これは製造業や建設会社はじめ様々な一般企業でよく陥る症状で、製品力の高い企業で起こりやすい傾向があります。
上記業種のWebサイトをご覧になれば一目瞭然でしょう。
上図フローチャート「BtoBの意思決定プロセス」のコンテンツ内の、A~Fで列記されている意思決定プロセスの中から、BtoBのWebサイトにおけるブランディングの必要性に言及します。
A~Cの検討段階ではこのBtoBブランディングが最も重要と言えます。同業他社の中でもブランディング要素を強く備えたWebサイトであれば、担当者の印象や感性に、好感・期待感・信頼性の側面で作用し、絞り込みの俎上に上がりやすくなるからです。
E段階では、プロジェクトチーム要員はWebサイトへ必ず再訪問がなされます。この後半のヤマ場では、要員はかなりディープにWebサイトで当該業者を審査します。さらに強い好感・期待感・信頼性を醸成することとなります。
F~Gの稟申過程です。最終決定をする社長・役員等の経営層は、導入機器のコストやスペック、導入効果の審査は精査しますが、業者のことはよく知りません。稟議書が上がってきた段階では、「どんな業者だ?」経営層と言えども必ずWebサイトを閲覧します。信頼・信用に足る業者なのか?社長はどんなメッセージを発信しているか?会社の歴史は?業界でのシェアは?取引先は?・・・。この会社情報にもきちんと専門性や品格を備えたブランディング要素を反映させたいものです。
有機性廃棄物の中間処理から、資源化・リサイクルまでワンストップで環境サービスを提供する企業。創業60年を超え、成熟した企業としての貫禄を示し、積極的なCSR、社会活動、環境活動を推進する、埼玉県内の業界においては、まさにリーディングカンパニーとしてのポジショニングを確固たるものにしている。
まさに企業ブランディングの権化とも言える企業オフィシャルサイトの構築を皮切りに、この項目の主役のBtoB商用に特化したサテライトの「オデイ.JP」、エンターテイメントな「タカヤマン・サイト」と、企業総合ブランディングとして複合的なWebサイト戦略を展開することとなりました。
しかしながら「オデイ.JP」が商用の中核になると言えども、ウリウリの商魂逞しすぎるサイトでは、ブランディングも何もあったものではありません。
総花的なユーザーターゲティング、説明が通り一遍の業務内容、ファクト中心のコンテンツ等々よく陥るコンテンツのあり方。実は同社様の旧サイトでは、このようなファクトサイトそのものでした。
県内業界リーディングカンパニーのポジショニングや、中間処理までワンストップ受託ができる強みを発揮する大手企業との取引や一括取引の重要性から、やはりBtoB取引と言えども、企業ブランディングの重要性をサジェスト、上記サイトネットワーク構築に加え、CSRパンフレット作成、CI・ロゴデザイン制作まで、包括的・複合的ブランディングに取組むこととなりました。
まずBtoB商用サイトの「オデイ.JP」のミッションは前述の通り、一つは大手企業のピンポイント攻略。大手製造業の大規模工場や大規模商業施設・大型ビルマンション等の産廃処理業務の継続契約。もう一つは広域多頻度攻略。大手量販店やCVSチェーンの本部一括契約でリージョナル全店舗の処理業務の継続契約です。これに大小かかわらず同社様の得意とする各種処理業務・回収・メンテナンス・中間処理業務までのスポット受託対応。
つまりターゲットを業種・形態・ペルソナにまで踏み込みセグメントし、同社様の強みに徹底的にフォーカスしたコンセプト構成としました。
さらに活動拠点が存在する神奈川県向けにローカライズしたコンテンツも準備しました。実はこのことも同社様の強みを発揮するブランディングの取組みです。
直接的な商用リソースはほとんど無いといっても過言ではない、まさに“ザ・オフィシャルサイト”。
弊社にて策定したCIベースのサイトデザイン・コンテンツは、リーディングカンパニーとしての風格や矜持を備えたもの。
別建てで制作したCSRパンフレットのコンテンツもそのまま活かし、企業ブランディングを広報する媒体としては重厚感さえ感じてしまいます。
前項「2. BtoB要件のブランディング _意思決定プロセスへの作用 」で触れた、同社様との取引を検討するターゲットユーザーの担当者・プロジェクトチームメンバー、さらに経営層への信頼性・期待感の醸成とその裏付けを担うフラッグシップサイトと言えます。
上記2サイトのスピンオフとして誕生したエンターテイメントなプロモーションサイトです。“おもしろおかしく、真面目に。”をスローガンに、各部署の社員参加により、作業現場で使用する各種の器具類を持ち、レンジャー戦隊ならぬ“環境戦隊”と称して、業務への熱いこだわりを、ユーモラスに演出しています。
同社様の採用活動やDMプロモーションにも効果を発揮するものです。
同サイトも複合ブランディングサイトのネットワークの一角を占めるものです。
1916年創業の精密測定器の製造・販売を事業とする企業で、2015年に100周年を迎えました。このダイアルゲージは「PEACOCK」のブランドで業界TOPシェアを誇り、独自のテクノロジーと品質管理に裏付けられた製品開発力が、同社様の最大の強みと言えます。
100周年記念を迎えるにあたって、対外的に「PEACOCK」での知名度は高いものの、意外と知られていない同社様の経年価値を広報活動することによって、「PEACOCK」ブランドのブランドイメージ向上を図りたい。また同社様のプロダクトラインナップが、100年もの長きにわたるナレッジやエビデンスの蓄積から誕生してきたものであることの周知により、情緒的な付加価値を高め、業界マザーツールとして確固たる存在感を示していきたい。
このような同社様の存在が、まさにモノづくりニッポンを支えるルーツであることを、100周年記念に合わせて発信していきたい。
周年記念誌のような重厚なヒストリーにしても、いくら知名度が高いとは言え、閲覧ユーザーの食傷気味は否めない、という仮説の下、歴史を感じさせるビンテージな写真、色遣いで一定の重厚感を持たせつつ、長過ぎず、短か過ぎず、創業期~業界スタンダードとなった自社開発の主力測定器誕生エピソードに触れ、1ページ内に収める縦長構成とした。
測定器三種の神器と言われるダイヤルゲージをはじめ、ノギス・マイクロメーターの厳格な基準がJIS規格策定のベースになったこと。
世の各種工作機械の開発におけるマザーマシン製造の際、同社様PEACOCKブランドの製品が“産業のマザーツール”として活かされていることは、まさに開発力と技術力に裏付けられた証左であること。
このように国内はもとより、世界中のモノづくりの現場を支えてきた同社様のプロダクトだが、さらに用途のダイバーシティ化、さらなる高品質さや高性能が求められる次世代のあり方。
これらにスポットを当てコンテンツ化するのに、各部門の社員方々による座談会が最適と考え、採用されることとなった。
100周年記念の定番、100周年ロゴデザインを制作、合わせて社員、取引業者への配布用100周年記念パンフレットまでを関連して制作しました。