2019.07.21
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まずはその前提となる「CI」と「ブランディング」について明確にしておきます。
CIはコーポレート・アイデンティティとして、企業理念・哲学・ビジョンなど企業の持つ本質を定義する取組みですが、これは顧客・エンドユーザー、競合・業界マーケットを意識したというより、むしろ”我社はかくあるべき”という、思想・信条、社会を形成する一員としてのあるべき姿、さらには目指すビジョン等、”絶対的な自我を確立”するものです。
もう一方のブランディングは、潜在ユーザーやマーケットに企業(製品・サービス)のブランドイメージを形成させていく取組みです。
企業力や製品力があることも重要ですが、競合他社が群雄割拠するマーケットにおいて、自社のプレゼンスを明確に主張し、個性や独自性、差別性や優位性、さらに潜在する価値や強みを顕在化させ、それを視覚情報や言語情報により、社会・市場に向け、企業に向け生活者に向け、認知度向上という概念だけでなく、「印象付けられた」、「好感を持った」、「もっとよく知ってみたい」など、人々の心理に無形の資産を宿す、また情緒的価値観を形成させていく取組みです。
もちろんそこから、間接的ではありますが、ビジネスや商取引に何らかの作用を及ぼすことを求めるものです。
これらを端的に言い表すと、
CIが自社のアイデンティティありきのプロダクトアウト的取組みに対し、
ブランディングはユーザーや顧客、ステークホルダーを意識したマーケットイン的とも言える取組みです。
そのCIやブランディングをWebでの展開することは、単に企業理念や哲学として一コンテンツとするよりも、CIや企業コンセプトとしてカテゴリー化することで、その存在感を大きく高めることが可能となります。
さらにオフィシャルサイト自体をCI中心のコンテンツに仕立てる、或いはブランディングと一体化させ、CI・ブランディングサイトとすることも、社内外への広報効果含め大変価値あるコラボレーションです。
このことはちょっと見方を変えると、相対評価を期待する取組みと言え、もはや立派なブランディング的取組みにも直結できてしまうと考えられます。
その意味で実は内向き定義のCIの取組みと言えども、Webとの親和性は高いと言えますし、就中コーポレートサイト、オフィシャルサイトでのCI展開や広報としての取組みは理にかなっていると言えます。
しかしながらCIはブランディングとは異なり、必ずしも能動的に積極的にそのプレゼンスを発信していくものではないため、新聞広告やTVCMなどのマス媒体での広報活動にはあまり馴染みません。
その意味で、社内インターナルなブランドブック、CIマニュアルや広報媒体の会社案内などと同様なレベルで半オープン、半クローズな取組みですが、Webでの展開は様々な領域のステークホルダーに、PC・スマホでいつでも何処でも誰でもリーチできる利便性から、最適な媒体の一つでしょう。
例えば、オフィシャルサイトとは別にBtoB商用目的の製品Webサイトの2サイトを展開している場合、取引を模索するユーザーが商用サイト閲覧により、同社製品が検討候補に挙がったとします。BtoBの場合、どうしても提供企業の信頼性の裏付けをとる必要があり、必ずといっていいほど、ユーザーはオフィシャルサイトへのアクセス行動をとります。
そこでどうでしょう、製品は検討俎上に上がっても、オフィシャルがその製品力に見合ってない、CIや企業コンセプトで確固たる理念やポリシーが無い、となるとユーザーは興覚めする、もしくは場合によっては検討の俎上から外すこともありえます。
このように商用やBtoBユーザーの場合、特に信頼の裏取り、意思決定に左右する担保を欲しがるものです。
これはBtoCのネットショップをしている個人でも、オフィシャルへの誘導があれば、新規購入の場合、ここで購入しても大丈夫だろうか?と個人においても信用性を求める行為は、ご自身を振り返ってみるとお分かりと思います。
このように、CIは能動的発信はしないものの、信用・信頼の裏付けとして、丁寧に自社のアイデンティティを主張したいものです。
広報機能としてWebサイトを活かす機会、またCIやブランディング機能としてWebサイトを活かす機会、またリクルート機能として採用活動に活かす機能、にこれら三つの機会についてご説明します。
とは言え、企業オフィシャルサイトそれ自体が広報機能を備えることはむしろ標準機能です。
またCIやブランディングの機会としてWebを運用する場合も、その行為自体は広報機能と言えます。
リクルート機能については、企業広報の一環ですが、昨今の慢性的採用難から、企業にとっては経営課題となっているため、あえてピックアップして取り上げます。
従ってここでは、
ビジネス・IR・CSR・採用等の【広報機能】、
創業・周年の機会、コーポレート・プロダクトブランドの【CI・ブランディング機能】、
新卒・中途・高卒採用の【リクルート機能】、
これらに絞って言及していきます。
この広報機能は一言で言えば、企業の公式情報であり、業種に関わりなくコーポレートサイトとしての普遍要素です。
この企業情報の構成要素は、
企業概要を中心に企業理念・成長戦略、事業内容・ビジネスモデル、製品・サービス情報、代表者メッセージ、沿革、組織、取引先、CSR、プレスリリース、採用情報、さらに上場企業であればIR、アニュアルレポート、CSR・環境情報も加わり、企業の公式な広報媒体たる所以です。
実はこれらのWebコンテンツの品質や幅広さは、事業推進やビジネスに大きく貢献するベーシックな要因の一つです。
特に企業間取引、世界レベルのビジネス、官公庁・金融機関との関係、また採用活動等々、信用・信頼を担保する与信的機能として、企業活動、社会活動の重要な裏付けとなるものです。
従って情報のアップデートやサイトのブラッシュアップにより、常に新鮮な状態を保つことを心がけます。
前述の通り、WebでCIやブランディングを表現していくこと、コンテンツとして訴求していくこと、これらは企業広報の一環ですので、企業のオフィシャルサイトとしては特段の言及は必須ではありませんが、ここでは、さらに企業としての付加価値を高め、企業への理解と関心をより深めるコンテンツをいくつかに絞って言及します。
このCIというのは、冒頭でも述べましたが、企業理念・哲学・ビジョンなど企業の持つ本質を定義する取組みで、”我社はかくあるべき”という、思想・信条、社会を形成する一員としてのあるべき姿、ビジョンを確立する取組みです。このCIをコンテンツの中心に据えたオフィシャルサイトづくりです。
顧客やマーケットを意識しない内向きのCIを、様々なステークホルダーに広く発信するWebで展開すること、これはまさにCIをWebで拡散する、一種のブランディング行為であると考えられます。
Webによる『CI+ブランディング』プロモーション、この事例を後述で詳しくご紹介します。
企業オフィシャルサイトでは、メーカー・商社・金融・不動産・IT等の一般企業であれば製品情報・サービス情報は必須カテゴリーですが、ここを深く掘り下げ製品やサービスの価値向上を図ることです。特にオフィシャルサイトを企業間取引の媒体として利用している場合、製品・商品・サービスの差別的優位性や独自性を発揮するプロダクトブランド、サービスブランドを形成する記事は大変競争力を持ちます。
例えば製品情報の中で、製品仕様・スペック・一般的特徴に加え、研究・開発コンセプトやビジョン、開発者メッセージ、導入シミュレーション提案、ベンチマーク情報、コストパフォーマンス等。
どれもブランド価値やイメージアップに貢献するコンテンツです。なかなかオフィシャルサイトではここまで語ることが決して多くはないようです。
企業情報カテゴリーの傘下にある年代ごとの出来事をまとめた「沿革」がありますが、例えば創業記念、周年記念の機会にこの沿革を「社史」や「企業史」にアップグレードさせれば、オフィシャルサイトの広報媒体としてのバリューが非常に高まり、重要なコンテンツの一つになります。
これをWebサイト上で全く取り扱わない手はありません。
また企業の経年価値は様々なステークホルダーに対し非常に尊ばれ、広報媒体との親和性は非常に高いと言えます。
その周年記念の場合、「○○th Anniversary」などと記念ロゴをつくってサイト上に掲示することはよく目にしますが、それと関連づけて社史にまでは及ぶことは決して多くはありません。
サイト上に社史として一回掲載しておけば、年代経過ごとに情報を追加すればよく、サイトの情報リソースとして継続的に活かすことができます。
企業の人材採用は社運を賭けるほど重要な活動で、業種に関わらず企業オフィシャルサイトの必要不可欠なコンテンツです。
その意味からオフィシャルサイトでの採用情報の充実とその重要性は益々高まっており、むしろオフィシャルから切り離して、採用専門サイトを独立させよりそのコンテンツに深みと幅を持たせることも、大きな選択肢の一つと言えます。
ただサイト内コンテンツとしての採用案内と言えども、充実した情報構成とすべきで、他の公式情報のUIやトーンアンドマナーとは一線を設け、独立した採用サイト風な、今風のタッチのUIデザインとすれば、若い就活生・求職者には馴染みが良いと考えられます。
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